【ちしょうの本棚】禅マインド ビギナーズ・マインド

漫画、辞書、仏教書ときたので、今回は禅に関する本をご紹介します。

禅マインド ビギナーズ・マインド

鈴木俊隆著 松永太郎訳(2012)『禅マインド ビギナーズ・マインド』サンガ新書

著者とされている鈴木俊隆老師は、1960年代にアメリカに渡った禅僧です。アメリカの禅におけるその基礎を築いたと言われている人です。

老師が現地で語った話をまとめたもの、つまり英語で綴られた語録が、逆輸入される形で翻訳され、日本へ渡ってきたのがこの本となります。

本との出会い

私は曹洞宗総合研究センターに在籍時、2011年5月~2012年1月にかけて、海外研修として、アメリカのロサンゼルス、サンフランシスコ、そしてブラジルのサンパウロに行きました。

この本の著者として挙げられている鈴木俊隆老師ゆかりのサンフランシスコ禅センターへも訪れました。

実際にアメリカに行く前にも勉強が必要。その教材として出会ったのがこの本です。

アメリカ禅について少しでも知っておくため、また仏教用語を英語に訳す際の参考にする為、この原本、つまり英語版で学びました。

Suzuki(1970)『Zen Mind, Beginner’s Mind』Shambhala Publications

そしてですね。その時、講師として来て下さっていたのが藤田一照さんです。私にとって坐禅の恩師です。

その講義が毎回毎回、楽しみで仕方がありませんでした。その時の講義が今の私の糧になっているは、間違いありません。

ちなみに、藤田一照さんが翻訳した禅マインド ビギナーズ・マインドの第二段も出版されています。

鈴木俊隆著 藤田一照訳(2015)『禅マインド ビギナーズ・マインド〜ノット・オールウェイズ・ソー〜』サンガ新書

二人の鈴木

アメリカでは二人の鈴木としてよく名前が挙がる人物がいます。

一人が鈴木俊隆老師、そしてもう一人が鈴木大拙先生です。鈴木大拙さんは仏教学者です。

この鈴木大拙さんは、禅についてたくさんの著作を英語で書いています。ですから、英語圏に禅を知らしめた人物としても、よく名前の挙がる人です。

ちょうど、鈴木俊隆老師がアメリカに渡った50年ほど前に、活躍されていました。

なので、大拙先生は禅の知識を、俊隆老師は禅の実践を伝えたと聞いています。

私は、一照さんの最初の講義で「どんなことを学びたいか」リクエストを問われた時に、鈴木大拙さんについて聞きたいと応えたのを覚えています。

個人的に鈴木大拙さんの本を読んだことがあり、確かによくわからない所があるものの、心に感じるものがあった本でしたから。

そして、いざ、講義が始まったら、鈴木大拙さんではなくて、鈴木俊隆老師の著作だったわけですw

まぁ、結果的にこの本に巡り合えてよかったのですが。

鈴木大拙さんの禅は劇的、鈴木俊隆老師の禅は日常的とこの本の序文にも書かれていますが、まさしくそんな印象です。

どんな本?

個人的な感想にはなりますが、大拙さんの書物より身近な印象を受けました。

それはこの本の成り立ちにも理由があると思います。

この本の編集は、鈴木俊隆老師の弟子が企画し、始めたものだったそうです。

老師は、週に二度ほど、その弟子の作った禅グループへ訪れ、坐禅の後、話をしていました。

法話といっていいのか……。おそらく、日本のような法話をイメージするのではなく、もっと身近な会話の延長線上のような感じだったと思います。

私自身が現地に行って感じたことですが、質疑応答も含め、指導者と身近にお話しができる環境でした。もちろん、その話は仏教に関することなのですが。

当然のことながら、アメリカへ渡った鈴木俊隆老師は、英語で話をしました。

英語で、仏法を、現地のアメリカ人の為に、直接話していたわけです。

その話を録音し続けるうちに、その記録はどんどん増えていきました。

結果として、その時の録音をもとに、この本が出来上がりました。

ということは「鈴木俊隆著」となっていますが、この本は鈴木俊隆老師が書いたものではないということです。

老師の弟子達が作り上げた、アメリカ人の為に英語で語られた鈴木俊隆老師の語録ということになります。

なんだか、「正法眼蔵随聞記」に似ているなと私自身は思いました。随聞記も道元禅師が普段話していたことを、弟子の懐奘さんがメモしていたものですから。

よく考えれば、最初にお経ができたその成り立ちとよく似ていますね。だから中国でも禅の語録がたくさんできたんだなぁと一人で納得しています。

とにかく、この本は予め文章として書かれたものではなく、会話を基にこの本はまとめられています。

まるで俊隆老師とその弟子達のやり取りを横で聞いているような感じといっていいのでしょうか。

目の前にいる弟子や参禅者に対して、できる限り仏法を伝えようと語っている言葉であるわけですから、学術書や解説書などよりは、とっつきやすいものと言えるでしょう。

ちなみにアメリカの宗教書関連としては、5本の指に入るほどの世界的ベストセラーでもあります。

最後までお読み頂きありがとうございました。
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