犀の角のように、ただ独り歩め
~ スッタニパータ1-3~
犀の角。
犀にとって自分の角は唯一無二。
ただ一つだけ。他に代わるものなどない。
それと同じく、自分という存在は唯一無二。ただ独りだけ。他に代わるものなどない。
だからこそ、自分は自分をやめることはできない。
どんなに望んだって、自分が他人と入れ替わることはできない。どんなに望んだって、自分の行いを他人が代わることはできない。
他人が飲んだ水が、己の喉の渇きを潤すことがないように。
自分の代わりなどいない。自分はただ独りの存在。
犀の角。
犀にとって自分の角は唯一無二。
しかしその角は、決して独りだけで存在していない。頭があって、身体があって、足があって、目があって、いろんなところがあるからこそ、支えてくれるからこそ、角は角であることができる。
それと同じく、自分というただ独りの存在は、決して独りだけでは存在できない。
いろんなところがあるからこそ、支えてくれるからこそ、自分は自分でいることができる。
角はただ一つだけ。しかし、決して一つだけでは有り得ない。
自分はただ独りだけ。しかし、決して独りだけでは有り得ない。
犀の角のように、ただ独り歩む。自己と他者が一つの如く。