仏教エピソード㉕「犀の角のように」

犀の角のように、ただ独り歩め

~ スッタニパータ1-3~

犀の角。

犀にとって自分の角は唯一無二。

ただ一つだけ。他に代わるものなどない。

それと同じく、自分という存在は唯一無二。ただ独りだけ。他に代わるものなどない。

だからこそ、自分は自分をやめることはできない。

どんなに望んだって、自分が他人と入れ替わることはできない。どんなに望んだって、自分の行いを他人が代わることはできない。

他人が飲んだ水が、己の喉の渇きを潤すことがないように。

自分の代わりなどいない。自分はただ独りの存在。

犀の角。

犀にとって自分の角は唯一無二。

しかしその角は、決して独りだけで存在していない。頭があって、身体があって、足があって、目があって、いろんなところがあるからこそ、支えてくれるからこそ、角は角であることができる。

それと同じく、自分というただ独りの存在は、決して独りだけでは存在できない。

いろんなところがあるからこそ、支えてくれるからこそ、自分は自分でいることができる。

角はただ一つだけ。しかし、決して一つだけでは有り得ない。

自分はただ独りだけ。しかし、決して独りだけでは有り得ない。

犀の角のように、ただ独り歩む。自己と他者が一つの如く。

2015年10月

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